秋の蕎麦の刈り取りに向けて、稲用のバインダーの改造を行なってます。
今回はそれについて紹介してみたいと思います
その前に、まず、いつもの前置きから。
今現在の田んぼの様子です。
「上の田んぼ」の様子。
手前の一段低いのが「タカヤマモチ(餅米)」で、奥が「コシヒカリ(うるち米)」。
どちらも稲穂が垂れて来てます。
「東の田んぼ」の様子。
こちらも手前の一段低いのが「タカヤマモチ」で、奥が「コシヒカリ」。
どちらも稲穂が垂れて来てます。
アップにしてみますと、こんな感じ。
「タカヤマモチ」は、もう刈れそうな程で、「コシヒカリ」はもう少しかな。
この様子ですと、今年は例年より稲刈りが早くなりそうです。
今年は地域の方にアドバイスをもらって、また色々と工夫したので、例年よりももっと美味い米が採れると良いなぁ。
では、本題の「バインダーの改造」に入ります。
「六ノ里地域づくり協議会 景観整備部」で「源蔵寺棚田の再生」として行なっている蕎麦栽培。
今年の圃場は、約8aくらいで、昨年実施した圃場の約1.5倍の広さがあります。
それに加えて、
昨年実施した圃場(約5a)と、
「そば茶寮文福笠井」さん下の圃場(約2a)が有ります。
その他に、
ここはお手伝いしているご近所のセイさんの圃場(約13a)に、
ここ(約16a)と、
ここ(約2a)は、同じ六ノ里の、いつも何かとお世話になっている方の圃場。
どちらも私が昨年から『そそのかして』蕎麦栽培してもらってますので、当然、刈り取りもお手伝いする事になります。(笑)
ですが、この刈り取りが、圃場の開墾を除けば蕎麦栽培で大変な作業になります!
これが昨年の刈り取りの様子です。
ご協力いただいた町の方と一緒に、鎌で刈り取っては束に縛って、
縛った束は、写真の様に「島立て」して乾燥させ、その後『脱穀〜選別』となりますが、この『手で刈り取って束に縛る』と言う作業が、凄く大変なのです。
昨年の圃場は5a程ですが、それでも半日は掛かりました。
それが今年は、その何倍もの面積になりますので、この大変な『手作業』を『機械化出来ないか?』と思ったのです。
『刈り取って束に縛る機械』と言えば、米作りに使っているバインダー(稲刈り機)があります。
写真の様に1列ずつを刈り取って、ある程度の量になると束に縛ってくれます。
ただ蕎麦の場合、私が実施している「すじ蒔き」でも一つの畝に2列蒔いているので稲に比べれば幅があります。
そこで『バインダーで上手く刈れるのか?』と言う事になりますが、写真の赤丸の様に幅が有りますので、2列のスジ巻きなら何とか刈れるのではないか、と思いました。
考えるのも大切ですが『まずは実際に試してみなくては』と。
早速、今年使って無い雑草の生えた圃場を借りて試してみました。(写真は有りません)
その結果、背の低い雑草が多いと、それが詰まって上手く排出できない事はありましたが、それが無ければ何とかなりそうです!!
実は今年の種蒔きの際に、バインダーの使用を少し考えていたので、すじ蒔きの2列の幅を狭目にしていたのです。
ただし、植っている幅よりも、もっと大きな問題が有ります。
稲と違って水を嫌う蕎麦を上手く育てる為に、写真の様に畝を立てて、その上で育ててますが、この畝が問題なのです。
では『何が問題なのか?』を説明していきます。
畝の上をバインダーを走らせて刈り取る状態を図化してみました。
この図ですと何も問題無く刈り取り出来そうですが、実際にはそうはならないのです。
と言うのは、
畝立て専用機で台形の畝を立ててますが、風雨によって上の角の部分は徐々に崩れて丸くなっていきます。
また種蒔きの際、種蒔き機を使っても畝の中心に揃えて蒔く事は容易では無く、片側に寄って蒔かれてます。
では、この状態でバインダーを畝の上を走らせて刈るとどうなるか?
畝の中心からズレている蕎麦を刈ろうと進行方向を横にずらすと、タイヤが畝の端を崩して、バインダーが畝から落ちてしまいます!!
となると、バインダーは使えないのか?
いえいえ、車輪が畝の上に有るから落ちる訳で、畝の両サイドに車輪が有れば落ちないですよね?
つまり、絵にしてみると、こんな感じ。
オリジナルの車軸を延長してトレッドを拡大し、大きな車輪を付ければ良いのです!
と言う事で、実際の作業を紹介していきます。
これが実際に改造するバインダーで、我が家で稲刈りに使う物とは別の機体です。
この機体は、今年米作りを辞められた方から、この春に譲っていただいた物で、その時点では蕎麦に使うつもりは全く無く、『持っていれば使う方も出て来るかも』くらいの気持ちでしたから、どこでどう転がるか分かりません。(笑)
まず写真の様に、畝高さを想定した台を木で作って刈り取り部をそれに載せ、車体後部はジャッキで持ち上げて機体を水平にします。
次に車輪部分がどの様に固定されているか、刈り取り刃はどの位置に有るか等をしっかり観察(これが凄く大切です!)し、取付方法などのアイディアを考えつつ、それに必要な車体各部の寸法を計ります。
測ったデータを元に、各部の位置関係を図面化したのがこの図です。
『車輪は何を使うか?』ですが、「乗用田植え機」の物が大きさ的に良さそうです。
元々バルーンタイヤとは言えノーマルタイヤは直径360mmなので、トラクター用の太いタイヤだと重過ぎて走らせられないかと思ったのです。
そこで近隣の農機屋さん、解体屋さんを回りましたが、物がありません。
ですので、ネットオークションを探してみました。
図面的には27.5インチの物が最適なのですが、そこでも程度の良い物が有りません。
売りに出ている程度の良い物のサイズで図面上で検討した結果、27インチの物を使用する事にしました。
なお、この図面には前輪を想定してφ310mmの車輪が描かれてますが、今のところは付けないつもりです。
ネットオークションで手に入れた車輪のアップです。
中古品ですが程度の良い物で、ゴム部分の劣化や摩耗が少ないです。
手に入れた車輪をバインダーの横に置いてみました。
束に縛る「ジュート紐」が入る部分(車輪上の円筒形の所)に車輪が重なってますが、トレッドを広げて装着しますので、横方向にスペースが出来て「ジュート紐」のケースへの出し入れは問題有りません。
車輪中央に駆動軸への固定部が有りますので、ここの各寸法を計ります。
新しく作る車軸は、ここに嵌まり込むので、内径や外形の寸法、固定ネジの位置などを計るのです。
そのデータを元にして、作る部品を図面化していきます。
図中の下がノーマルで、上が改造後の物です。
改造後の図中の赤い部分が手に入れた車輪の固定部で、車軸延長部品(青い部分)と赤い部分に嵌る新車軸を製作します。
新しいトレッドの幅は、立ててある畝の幅を実測して100c mとしてますが、元の車軸の取り付け穴が25mm内側に入った所にも有るので95c mに縮める事も出来ます。
上の図を元に、3D(3次元)データ化します。
実際に加工してもらうには紙の図面で良いので、2D(2次元)データのままでも良いのですが、その3面図を書くにも3Dデータがある方が簡単です。
また『各部が干渉して無いか?』や『強度的に大丈夫か?』など、色々と検証する上でも便利なので3Dデータにしています。
現在、地元の方に教えていただいた地元の加工屋さんで制作中。
畝立て専用機の時もそうでしたが、出来上がって来るのが楽しみです!
出来上がったら組み上げて、早速テストしてみたいと思ってます。
はてさて、上手く刈れるかな?(笑)