来年実施する「シェア田んぼ」に関連して、参加者への説明会と秋の仕事を行いましたので、記事にしてみたいと思います。
<「シェア田んぼ」実施の経緯>
昨年より移住された方々から『米を作ってみたい』と相談を受けていました。
今はまだ大丈夫ですが、他の農山村と同じく近い将来、六ノ里でも高齢化で担い手の居ない田んぼが出てくると思いますので、この様な相談は将来の担い手になっていただける可能性であり、ありがたい事だと思います。
ですが、米作りは野菜作りに比べれば簡単とは言われていても、未経験の方がいきなり単独で米作りというのは、たとえ指導付きであっても難しいと思います。
というのは『米を作ってみたい』と思われていても、田植え、稲刈りの他のいろいろな作業があるのをご存知無いかもしれません。
知っておられても実際に体験して見ないと、作業が大変だとか、面倒だとかは分からないかもしれません。
そして、その大変さを『体力的や時間的に受容できるか?』と言う問題もあります。
そこで、まずは1年か2年、複数の家族で「シェア田んぼ」という形で「米作りの学校」的に一連の作業を体験していただく形を試験的に行ってみることにしました。
これなら各作業を実際に体験出来ますし、複数家族で分担出来るので作業の負荷も少なくなって、米作りの実際を分かっていただけると思われます。
<「シェア田んぼ」説明会>

11月22日に参加予定の方々に集まっていただき、年間を通してのスケジュール(上の図)と実行にあたってのルールの説明を行いました。
その後、実施する圃場に移動し「秋の仕事」を行う日を、皆さんと決めました。
<秋の仕事/下準備>

説明会の翌々日、先行して秋耕起を行いました
本当は皆さんと決めた作業日に行ないたかったのですが、作業日前日が雨、その後は雪が降る予報と、この日を逃すと出来そうに無かったので先行して行いました。
耕す前に、この圃場の水口がどこにあるかの確認の為に圃場周りの一部の草刈りを行い、圃場内の蘖(ひこばえ:刈った稲株から新たに伸びてくるもの)も刈りました。
草刈りの音が聞こえたと、参加される方が1名、草刈りに参加くださいました。
草刈り後に秋耕起をしてみると圃場の東側の中央辺りがぬかるんで大変で、終わったのは日暮れ近くでした。
これほどぬかるんでいると、1年を通しての米作りの中で何かと大変になりますので、原因を探って対策を施す必要があります。
<水口の点検>
秋耕起の翌日、水口の点検を行いました。

ぬかるんでいる原因を調べてみると、水口からチョロチョロとずっと水が入っている状況で、これではいつまで経っても乾きません。
この状態ですと、米作りの中で「中干し」と言って、稲株が育ってきた段階で一度水を止めて圃場を干すのですが、水を切れないので干せません。
『なぜ水口から水が入り続けているのか?』の原因を1つづつ探ってみると、

この時期だと用水路の水門は閉めて水を切ってあるはずですが、ここの水門は隙間からずっと入ってきていました。
ですので、土嚢を用意して隙間を埋めてみましたが、完全にと言う訳にはなっておらず、まだ圃場側の出口から水が出て来ます。

それに何処かから湧いてくる分もあるみたいで、写真の様に分水栓辺りに水が溜まってきてます。
そして、この分水栓の蓋と本体の隙間から水が入って来てます。

分水栓の蓋を外してみると経年劣化で歪んだのか接触面側が平面になってません。
現地では補修が出来無いので、圃場側の水の出口に肥料袋を被せて縛って水が入らない様にして蓋を持ち帰っての修理する事としました。
持ち帰った後、分水栓の蓋の接触面側を削って平面を出したのち、蓋の裏側にシール材としてスポンジシートを貼り付けました。
<水口の修理>
点検の翌日、補習した分水栓の蓋を取り付けてみましたが、最初に比べれば少なくなったとは言えまだ入って来ます。

本来、この分水栓は水路を流れる水の量が多ければ、水圧で蓋が押し付けられて水が入らない構造ですが、どこからか湧いているくらいの水量(写真)では押し付けられません。
そこで写真の様に、取り敢えずは石で蓋を押し付ける様にしておきました。

また、圃場側の出口に補修用の分水栓を取り付けました。
これにより雫が垂れる程度になりましたので大丈夫と思います。
(4日後に確認しましたが、写真の水が溜まっている辺りは乾いてました。)
<秋の仕事>
ここからは皆さんと行った、秋の仕事についてです。
なお、私も一緒に作業していますので、作業の写真は有りません。

まずは圃場の周りの草を刈って、

刈った草は来年の秋耕起で入れる堆肥にする為に、圃場のすぐ横の薮を刈り払って畦並板で囲って堆肥場を作って、そこに運び入れました。
入れた雑草がこなれる様に石灰窒素や米糠を入れると聞きますが、どちらも食味値のタンパク分が増える要素なので入れません。
春耕起までに堆肥化するには必要なのかもしれませんが、使うのは来年の秋耕起なので、入れなくてもそれまでにはちゃんと堆肥になります。

堆肥場を作った後は、水路の上に草が覆い被さっていましたので刈りました。
この覆い被さって草は冬の間に積雪で水路の中に押し込められます。
春になって圧縮され湿った草を取り除くのは大変なので、今のうちに行いました。
水路の中の溜まった土砂は、参加者の方が自主的に一部取り除いてくださいました。
まだ残ってはいますが予定時刻になりましたので、あとは来春の井普請で行います。
以上、今回の記事は終了です。
参加いただいた3家族の皆様には、積極的に作業をこなしていただきました。
今年の作業は終わりですが、来春からも美味い米を目指して頑張りましょう!