いよいよ今年も、田んぼの準備の季節になりました。
今年は4月末まで本業で平日は町に居て、週末に戻っても「善勝寺桜 桜まつり」や「源蔵寺棚田の再生」の準備とかで、結局、去年と同じ時期となりました。
今回は田んぼの準備の第一弾として、畦整備〜春耕起〜水入れまで行いましたので、記事にしたいと思います。
ですが、最近してないので、久々に前置きを。(笑)
今回の前置きは、春の栃洞の景色を紹介します。

我が家のすぐ側の枝垂桜が、今が満開。
周りの桜が終わった頃に、毎年、綺麗な花を付けてくれます。
枝垂桜で花も八重なので、最盛期は木全体が花でワサッと言う感じになります。
ただ、今年の大雪で北側の枝が折れたのが影響したのか、大雪そのもののせいなのか、今年の花は少し小ぶりな気もしてます。

我が家の「甚七桜」は、そろそろ終わり。
我が家の屋号が「甚七」だったそうなので、勝手に「甚七桜」と呼んでます。
この桜は、最初、薄桃色の花で始まって、終わりになるにつれて白い花になります。
最後は葉が出て来て、薄緑になって終わりですが、他の桜に比べて長い間咲いてます。
今年は一番良い時期に仕事でゆっくり楽しめなかったのが残念です。
が、来年もまたチャンスは有るので楽しみにしましょう。

桜の時期には、我が家の前の斜面にはカタクリの花が咲き出します。
写真の桃色の花がそうです。(右手の葉っぱは、ギョウジャニンニク)
で、豆知識を言うと、この花の根から採れるのが、本当の片栗粉。
今はカタクリ自体が少なくなってますし、ワラビ餅の蕨粉、くず餅の葛粉もですが、根を掘って集めてでは効率が悪過ぎて、大量生産は出来ないのでしょうね。

カタクリは、この斜面全体に育ってます。
毎年、草刈りをして綺麗に保っているからか、生える面積が増えている様な気もしてます。・・・が、気のせいかも。(笑)

先達さんから引き継いだ梅畑。
実の採取のし易さと将来の枝振りを想像しながら、毎年少しずつ剪定を続けてます。
花の時期には微かではありますが、良い香りが漂って木の下にいるだけで気分が和らぐのですが、こちらも今年はそんな時間が取れませんでした。
本業は大好きですし、私の腕を信頼して呼んでいただけるのも光栄ですから、贅沢な悩みです。
今の時期にはとっくに花は終わって、小さな小さな梅の実が出来始めてます。

梅の花に代わって、この時期になるとワラビが出てきます。
移住してすぐの何も知らない頃は、雑草で梅の木の下が荒れるのが嫌で、伸びたそばから刈るを繰り返したのですが、そのうち、出てくるワラビが細くなってしまいました。
色々と調べてみると、刈り方が有るそうです。
それは、夏前に一度伸びたのを雑草と一緒に刈ります。
するとその後は、ほぼワラビだけ(多少の雑草も伸びますが)が大きく伸びるので、そのまま秋に枯れるまで放置して、冬前に刈るのが良いそうです。
こうすると、夏から秋の間、雑草に邪魔されず大きく伸びたワラビの葉が、たくさんの陽の光を浴びて根に栄養を溜め込めるのだそうです。
さて、少しのつもりが、大変長くなりました。
それでは、本題にまいりましょう。

田んぼの準備、まずは畦の草刈りを行います。
春先で、そんなに草も伸びてませんが、畦部分を綺麗に刈ります。
この時期は草も柔らかいので、草刈機はナイロンコードを使います。
ここらでは『紐カッター』、もっと略して『紐』なんて呼びます。(笑)

田んぼの周辺をぐるっと一周、こんな感じに綺麗に刈ります。

なぜ草が伸びてないこの時期に草刈りをするかと言いますと、「モグラ穴」を分かりやすくする為です。
写真の中央に穴が見えると思いますが、これが冬の間にモグラが開けた穴です。
「モグラ穴」をちゃんと塞いでおかないと、田んぼに水を入れても、そこから抜けて溜まらないのです。

東の田んぼに続いて、上の田んぼも畔波板部分も、

そうで無い部分も、綺麗に草刈りを済ませます。

草刈りが終わったら、水抜き部分を埋め戻します。
例年は秋に埋め戻してそのままですが、今年は大雪で春先に田んぼに雪解け水が溜まってました。
なので、それが抜ける様にと開けておきましたが、後日、代掻きを行うのに水を溜めないとならないので、盛った土が固まる様にと早めに埋め戻します。
もちろん雨が降った際に、撒いた肥料が流れ出るのも嫌ですからね。

こちらの水抜き部も、同様に丁寧に漏れない様に埋め戻します。
以上、ここまでを4月28日の午後に実施しました。

続いて翌日、4月29日朝、まずは畦の修復から行います。
畦の上に立って写真の大きな木槌で、外へ押し上げる様に畦を叩いていきます。
こうする事で、昨年1年で形の崩れた畦を修復すると共に、「モグラ穴」も塞ぐ事が出来ます。
畔波板の所は、畔波板に沿って上から木槌を強く落とす(押さえ込む)様にして、冬の間に畔波板に沿って動いて出来た「モグラ穴」を塞いでやります。
本来は「畦塗り(あぜぬり)」と言って、水で練った土を鍬で畦に塗り付けます。
私はお隣のお父さんから、この鍬での「畦塗り」を教えていただきましたので、以前はやりました。(過去の記事で、綺麗に鍬で塗った畦塗りも見れると思います。)
しかし、これも当然難しく、中腰姿勢が続くので腰痛持ちには良くないのです。
最近はトラクターに専用の「畦塗り機」を付けて、土手状に成形するのがスタンダードの様ですが、これはお金が掛かるので我が家では論外。
ですので、最近は横着して、この方法で済ませてます。
以前、テレビで見た方法では一度水を入れてみて、水が抜け出ているところを見つけて、肥料袋の切れ端を丸めて「モグラ穴」に突っ込んで塞いでました。
が、私の様な横着な人間は、秋に回収するのを絶対に忘れます。自信が有ります!
そして、そのまま草刈りをして劣化した肥料袋をナイロン・コードで砕いて、そこら中に飛散させるのがオチです。(笑)

東の田んぼが終わったら、上の田んぼも同様に行いました。
上の方で叩くと書きましたが実際には、木槌を持ち上げ、柄の終わりの側の手を支点に、重さで円弧を描くように落とし畦に当てる、そんな感じ。
言葉で書くと簡単そうですが、これが難しく変な力が腕に入って、畦に木槌が平行に当たらないんです。
上手く当たるとパァーンみたいな綺麗な音がして、当たった所は綺麗になりますが、
これがなかなか綺麗に当たらないんです。(杵と臼で餅つきするのに近いかも)
そのうち木槌を持ち上げる手が疲れてくると、早く終わらせたくて変な力が入って・・・かえって、やり直す回数が増えての悪循環。
まぁ修行の様な心持ちで、頑張りました!!!(笑)

畦の修復が終わりましたが、昼ご飯にはまだ時間がありますので、水を溜める枡の掃除も行います。
我が家の田んぼに使う水は沢から引いて来ており、途中、一度道路の下を潜るのでサイフォンになっていて、写真の枡に溜まります。
引いて来ている先が沢なので、当然、砂も流れて入りますから、1年の間に底に溜まった砂を田植え前に綺麗に取り除きました。
ここでお昼になりましたので、春耕起は午後からにしてお昼にします。
今日は天気が良いので、おにぎりを田んぼの畦でいただきます!

昼食後、畦の修復も終わり、肥料も撒き終わったので耕運機で耕していきます。
やり方は北側の縁に沿って耕運機で耕して端まで行って、向きを変えて耕した横を耕して、を全体に繰り返します。
端の向きを変える部分を「枕地」と言って、向きを変える間は耕せないので、最後にグルッとその部分を回る様に耕します。

約1時間ほどで、上の田んぼの春耕起が終わりました。
角の部分や耕運機の向きを変える所は、耕運機の性質上、耕した土が溜まって高くなりますので、そこは最後にレーキで均しておきます。

続いて、東の田んぼを行い、こちらも約1時間程で、終わりました。
(作業後の写真は、毎年同じなので省略)
ところで、去年の記事に書いた耕運機の燃料タンクの漏れ修理は大成功で、一冬倉庫に仕舞っておきましたが、どこからも燃料が染み出していません。(当たり前だけど。笑)

さて、春耕起が終わったので、田んぼに水を入れます。
パイプから出た水が田んぼを掘らない様に、平たい石を敷いて、その上に石を置いて、そこに水が当たる様にしてます。

我が家の田んぼは、引いている水のパイプが細いので、他の田んぼの様にみるみる水が入っていく様にはなりません。

東の田んぼにも、同様に水を入れます。
こちらも平たい石を敷いて、その上に石を置き、パイプから出た水が田んぼを掘らない様にしてます。

「東の田んぼ」も同じ様に。
多分、今年も苗が来るのは5月25日頃で、我が家は代掻きを2回する(初期雑草が生えにくいんです。)ので、田植えから逆算すると1回目の代かきは5月13日頃。
今日は4月29日なので、まだ3週間ほども有りますが、今年試してみたい事が有って早めに入れたのです。
と言うのは、これまで水を入れる時は沢水を昼夜通して溜まるまで入れ続けたのですが、これだと『田んぼの底の方の土まで冷え切ってしまうのでは?』と思ったのです。
実際に、田植え後に土の底の方に手を突っ込んでみると、凄く冷たくて、まるで昔の冷害の時の様に、苗の初期生育にも悪影響があるのでは?とも思ったのです。
そこで実験として、まだ田植えまでには日数があるので、その間、日中の陽の当たる暖かい時間だけ水を入れてみて、底の方の土がどうなるかを試したかった訳です。
以上で、今回の記事を終わります。
次の田んぼの準備は、先に書いた様に3週間先の1回目の代掻きです。
少し時間が空きますが、それまでに「源蔵寺棚田の再生」の事前準備、「タラの木」の剪定、ナメコの原木栽培の菌打ち・・・他にも有ったかも。
やる事は盛り沢山ですが、今年も、ぼちぼち頑張ります!!!