木工旋盤の刃物作り

早いもので、今日から12月です。
暦通りに寒くなりまして、天気予報では今週末に雪マークが付いてました。

さて、前回の記事の「草木灰」と「木酢液」作りを雪が降る前にまだまだ増産したいのですが、あいにくの雨模様です。
こんな日は「屋内で出来る作業」と言う事で「木工旋盤」で使う「刃物」作りを行いましたので紹介してみたいと思います。

いきなり「刃物」作りと言っても訳が分かりませんよね。(笑)
なので、まずは『なぜ「刃物」を作ろうと思ったのか』からお話します。

この写真が、私が使っている「木工旋盤」の「刃物」です。

今回作ろうとするのは『掘り込む』際に使う「刃物」で、今有る「刃物」の中では一番下の「スクレーパー」に変わる物。
この「スクレーパー」と言う「刃物」は名前の如く『削ぎ取る』感じで削っていきます。
削るイメージとしては「金属旋盤」に近いです。

なお、これらの「刃物」を使う「木工旋盤」の方法は海外から来た物で、言うならば「西洋式木工旋盤」と呼んで良いと思います。

この『削ぎ取る』感じで削っていく「スクレーパー」でも「杉」や「檜」を挽く時は材料が柔らかいので良いのですが、「桑」や「栗」などの硬い材料を使って「湯呑み」や「茶碗」「菓子皿」など、大きく深さのある物を挽くと『凄く時間が掛かる』のです!!

ところが「山中漆器」を紹介したテレビ番組を見た際、「漆器」の元になる「木地」作り、「ろくろ挽き」と言うそうですが、その場面で、私が「木工旋盤」で挽く速度と全く違って『凄く早かった』のに驚きました。

この写真は削ってる時のイメージを伝えたくて「山中漆器」を紹介するサイトからお借りした物ですが、細い連続した「削りカス」が出ているのが分かるでしょうか?

ここで使っている「刃物」を「ろくろ鉋(かんな)」とか「木地かんな」と言うそうですが、鋭い「刃物」、例えば『ナイフで削る』とか『「鉋」で削る』のと同じ様な感じなのです。

この「ろくろ鉋」なら「硬い材料」でも早く挽けそうですし、現に硬い材料をかなりの速度で挽いていたので、『どんな削り具合なんだろう?使ってみたい』と思ったからです。

「西洋式」でも「ボールガウジ」と言う「刃物」を使えば、材料への『当て方』次第で薄く連続して削る事も出来ますが、それでも「ろくろ鉋」に比べると削るイメージが違います。

*「ろくろ鉋」を使うのは「山中漆器」だけで無く「木曽ろくろ挽き」や「コケシ」作りも同じで(細かい所は違うのでしょうが)、この日本古来からの「ろくろ挽き」は「西洋式木工旋盤」に対して「日本式木工旋盤」と呼んで良いと思います。

この「ろくろ鉋」、まずは『ネットで購入出来ないか』と調べてみましたが、『作る形状に合わせて職人が「鍛冶屋」をして作る物』らしく販売されていません。
『なら、作るしかないな』となりました。
(作ってみたい気、満々なのが本当のところです。(笑)

以上が、今回「刃物」を作ろうと思った経緯です。

作るにあたって、色々なサイトで作り方を調べました。

まず材料ですが、調べた結果「ハイス鋼」が良いらしいです。
「ホームセンター」とかでは、まず普通には売ってませんので、本業でも材料を購入している「ミスミ」で調達。

材質:「S45C相当・一般構造用鋼・SCM435」 Φ15mm、長さ300mm
価格:1本¥600円。これを3本、税込み価格 ¥1,980円。

次は「鍛冶屋」作業の道具です。

材料を真っ赤に焼いて「ハンマー」で叩いて鍛えながら形を仕上げていくのですが、「炉」の代わりは「七輪」を使い、燃料は普通の「木炭」です。(写真の①)

火力を増す為の「吹子(ふいご)」の代わりは「コンプレッサー」からの「圧縮空気」を「エアブロー・ガン」のレバーを固定し、少しずつ「七輪」に吹き込みます。
最初はレバーの固定に「ゴムコード」を使ってましたが「タイラップ」での固定に変えました。(写真の②)

ちなみに「タイラップ」や「インシュロック」は登録商標で、 一般名称は「結束バンド」や「ケーブルタイ」と言うそうです。

叩いて鍛える際の「金床」の代わりは「農舎」に有った、多分「耕運機」の前後バランスを取る為の「ウエイト」。(写真の③)

こんな感じに、真っ赤に熱して「ハンマー」で叩いて欲しい形状にしていきます。

写真では「耕運機」の「ウエイト」が本物の「金床」に変わってますが、実際に叩いて鍛えたところ、「ウエイト」では軽過ぎて不安定でやりにくくて・・・。

熱して叩いて鍛える音(けっこううるさい!)を聞いて覗いていただいたお隣のお父さんの好意で、本物の「金床」を貸していただきました。いつもながら感謝、感謝です!

大体の形状まで叩いて作ったのですが、写真中の上の「台形」形状に、この形から矢印方向に熱しては叩いて作るのですが、正直なところ上手く出来ません。

そこで一度冷やして、「両頭グラインダー」で削って仕上げました。

その後、もう一度熱して、先端を写真の様に叩いて曲げて形状は完成。
これを真っ赤に熱して、「バケツ」に入れた水に入れて「焼入れ」して完成です。

ここまで出来たら「チェーン・ソー」の「目立て」をする「丸ヤスリ」で削って「刃」を付けます。(写真の右側の色の違う部分が「丸ヤスリ」で削ってみた部分。)

ところが、これが大失敗で『硬過ぎて』少しずつしか削れません!!
(『硬過ぎる』ので、「焼入れ」温度は大成功なんですけどね・・・。)

なので、もう一度熱してからゆっくり冷ます「焼き鈍し」をして、「丸ヤスリ」で『ほぼ「刃」の状態』に仕上げました。

「焼き鈍し」して柔らかくなっているので、このままでは「刃物」にはなりません。
なので、もう一度真っ赤に熱して「焼入れ」します。

『良い温度』になったら、写真の様に「バケツ」の水に一気に『ジュッ!!』と。
(大事なのは『迷い無く!』です)。

なお「焼入れ」時の熱する際の目安(温度)は『見た目の色と明るさ』ですが、これは昔、「オートバイ」用の整備工具を作っていた頃の経験からです。
(硬くて「ヤスリ」で削れないくらいなので、昔の記憶は間違っては無かった。(笑)

以上で「鍛冶屋」仕事は終了です。

この後は普通に「刃物」の研ぎです。

「チェーン・ソー」用の「丸ヤスリ」で荒く研いで、それから「ダイヤモンド・ヤスリ」で少し細かく研いで、最後は「リューター」に「ゴム砥石」を付けて「仕上げ研ぎ」して完成。

まだ実際に「木工旋盤」で挽いてみてませんが「ろくろ鉋」としては良く出来たと思ってます。(得意の自画自賛です!)

私の性分としては『完成したら早く使ってみたい!』ですが、「草木灰」作りや「果樹木」の「剪定」とやる事いっぱいで・・・。

実際に使ってみましたら、また何かの記事中でもご報告したいと思います!

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